フランス在住者のリモート雇用と源泉徴収
フランスに拠点をもたない日本企業が、フルリモートでフランス在住人材を雇用する場合、フランス在住社員はフランスの「(日本でいうところの)厚生年金・健康保険」に加入します(以下:フランス社会保険)。フランス在住社員の国籍は不問です。いわゆるフランス人さん、日本人さん、どちらでも同じです。
つまり、いわゆる会社負担分があります。そしてその源泉徴収が必要です。日本企業は、フランス当局へ源泉徴収する旨を登録したのち、毎月、源泉徴収の申告・納入、および雇用した人材への給与支払を行います。源泉徴収の申告・納入は、3カ月に1回にまとめることもできます。
日本企業は、支払給与総額から会社負担分を含めたフランス社会保険料を算定して源泉徴収し、それをフランス当局に申告・納付します。
フランス所得税も同様です。日本企業は、フランス当局へ登録後、フランス在住社員へ毎月支払う給与から会社負担分を含めたフランス所得税を源泉徴収し、それをフランス当局に申告・納付します。
フランス当局とは、日本に例えるなら、フランス社会保険は厚生労働省、フランス所得税は国税庁です。登録・申告・納付、それぞれに必要です。
SIRET番号とは
上記をフランス当局に納入する際に必要なのが、SIRET番号です。日本でいう法人番号みたいなものです。日本の法人番号と違う点は、(1)フランスに拠点をもたない事業者であっても、フランスに登記することなくSIRETだけを単独で取得できること、(2)フランス社会保険納付にも使えること、です。日本に例えておおざっぱにいうなら、法人番号と健康保険者番号がほぼ共通しているということです。合理的です。ただし、番号は共通でも所管は異なるため、手続はそれぞれに必要です。
なおSIRETは、フランス・EUとの輸出入取引(IOSS、OSS等)で必要となるEORI番号、VAT番号を取得する際にも、もとになる番号です。
フランス社会保険の登録・申告・納付
フランス国外企業が、雇用しているフランス本国人材のフランス社会保険を納付するため、専用サイトが設けられています。まずそこに登録します。申告に先立っては、会計士を専任しておき、その会計士が、会社支払総額(会社負担分を含む)から、フランス社会保険、所得税、社員給与等を計算します。これを受けて、毎月、申告額を申告します。フランス社会保険は、日本から直接オンラインでも、あるいは現地で契約する代理人を通じても、どちらでも納付できます。
フランス所得税の登録・申告・納付(要口座開設)
フランス所得税をフランス当局へ直接オンラインで納付することは、残念ながらできません。フランスの法律上認められた代理人と契約することが必要になります。日本でいうところの納税管理人制度に近いです(以下:フランス納税代理人)。
フランス国内向けには、雇用している人材のフランス所得税を申告・納付するため、専用サイトが設けられています。フランス納税代理人が、このサイトを使って、日本企業の代理人として登録、申告、納付を行います。この際に、SIRET(ただしくはSIRET番号の一部SIREN番号)が必要です。この申請手続はフランス納税代理人と交渉し、委託する契約します。
日本企業は、そのフランス納税代理人が管理する専用の銀行口座に、支払給与+所得税源泉徴収額をオンラインで送金します。そして、フランス納税代理人が、社員に給与を支払い、フランス当局に所得税源泉徴収額を納付することを代行します。
世界進出の第一歩をフランスから
フランスでは、コロナを機に、リモートワークが企業および従業員の間に浸透し、あわせて、それを支える制度ができました。そしてさらには、国境を越えるリモートワークへ発展しています。
一方、世界のほとんどの国は、制度化できていません。ちなみに、日本では、外国企業に雇用される場合に、適用される社会保険は、フランスとは違い、国民健康保険、国民年金です。ただしこのことは、厚生労働省所管の HP等では、明文化されていません。法制化が、社会の変化に追いつかず、トラブルが発生するリスク等があります。
これらが明文化されているフランスは、稀少な海外リモートワーク先進国といえます。国境を越えたフルリモートワークに対する社会保険・税金および源泉徴収方法など法制度・システムが整備された稀少な国です。税負担や徴収方法等においては、社員とトラブルになるリスクがありません。またフランスは、近年、EU域外からの直接投資が最も多い国です。これから広く世界展開を目指す国内企業さまが、フルリモートで海外営業に取り組む際には、まずフランスから始めることをお奨めいたします。そして、1社でも多くの事業者さまが、『海外営業フルリモート社員採用』に、大きなポテンシャルがあることをお気づきになられることを心より願っております。
SIRET EORI VAT
・ 合同会社JEXPOは、フランスに拠点をもたないまま、フランスSIRET番号を取得しました。日本の法人番号に相当します。同様にして、日本の事業者さまも、自らSIRET番号を取得できます。 2023年11月22日 ・ |
・ これに続きEUとの輸出入等に必要なEORI番号を取得しました。 同様にして、日本の事業者さまも、自らEORI番号を取得できます。 2024年4月3日 ・ |
合同会社JEXPO
SIRET番号 98175683600012
EORI番号 FRJP981756836
VAT番号 FR59981756836(申請中)
SIRET EORI VAT 取得代行
日本の事業者さまは、日本から直接、SIRET、EORIを取得できます。
ただし、さらにVAT番号を取得したり(IOSS・OSS事業者さまなど)、源泉徴収したりしたい場合は、フランス現地の納税代理人を手配することなどが必要になってきます。これら一連の手続きは煩雑です。
SIRET・EORI・VAT番号の取得、諸税・社会保険の申請・納付を検討していらっしゃる事業者さま・個人さまは、お気軽にお問合せくださいませ。