SIRETとは?
フランス・ヨーロッパとのビジネスで「SIRETを取得する必要があるの?」と感じることがあります。例えば以下です。
- フランス国内でイベント参加・展示会出展などしたら、主催者や取引先からSIRETを取得するよう依頼された
- ヨーロッパ向けサンプル発送などに関して、シッパー(荷送人、コンサイニー)側の送料負担などについてネットで調べていたらSIRETがでてきた
- EU輸出に関してOSS・IOSSを調べていたら、SIRETがでてきた
- 暗号化技術を使っているアプリをApp Storeに登録しようとしたら、フランスの暗号化申告承認証が必要であることがわかり、その申請にSIRETが必要なことがわかった
- フランス在住人材をリモート雇用しようと思ってネットで調べていたらSIRETという単語がでてきた
- フランスで事業を始めたい
このような場合、重要なポイントがあります。
「SIRET番号を取得すれば手続完了」ではありません。
御社がやろうとしている事業は、フランスへの納税義務がある?、ない?と密接に関連している、ということを認識しましょう。
なぜフランスに納税?
「日本の事業者なのにフランスに納税?」
みなさま、まずこうお感じになると思います。
ところが現実には、納税はありえます。
そして、納税が必須なら、SIRETが必須になります。
ポイントは、以下の4つです。
- 納税は本当に必要なのか
- 納税が必要だとしたら具体的にどうしたらよいのか
- 税や費用はいくらなのか
- SIRETはどうやって取得するのか
納税の可能性がある税等 (日本でいえば) |
場面 |
付加価値税 (消費税) |
・フランス企業との取引・契約 ・フランス・EU向け越境EC ・フランス・EU内での事業展開 |
関税 | ・フランス・EUへの輸出 |
社会保険 (厚生年金・健康保険) 個人所得税 |
・フランス人材の雇用(リモートを含む) |
付加価値税(消費税)
フランスで開催されるイベント・展示会などへの参加申込書、および契約書や請求書の取り交わしなどに際して、現地の主催者や得意先などから「SIRETが必要だから教えて」と言われることがあります。
日本で例えるなら、取引相手から「法人番号を教えて」と言われるのと近い感覚です。相手側は、おおにして「各種様式がSIRETを書き込むようになっているから」と説明します。このような場合、法遵守上、いずれ納税はありうると考えるのが無難です(つまりSIRETも必要)。
フランス・EU向け越境EC(OSS、IOSS)は、始める段階でSIRETが必須です。同じく始める段階で、後述のフランス納税代理人が必要です。そしてやがて取引が成立した時点において、納税が発生しえます。
フランス・EU内で事業をするなら、納税・SIRETはほぼ必須でしょう。これは、昨今、日本国内において、大多数の事業者さんが、適格事業者番号を取得したのと似た理由だとお考えください。
上記のいずれの場合も、日本で例えるなら、消費税を税務署に支払う(可能性がある)取引といえます。
関税
ごく一般的な輸出取引(日本→フランス)であれば、フランス側ので輸入業者が関税・付加価値税を支払うことが通例なので、とくに問題にはなりません。ところが、重要な見込客などに向けて、はじめてサンプル発送したい場合などにおいては、「日本側が送料・関税・付加価値税をすべて負担したい」などというケースがあります。
このような場合において、日本側がさらに、「相手にいったん立替もお願いせず、フランス当局(通関)に直接関税・付加価値税を払いたい」と考えるならば、誰が納税するのか、という問題が発生します。
この場合、現実的なのは、fedex、UPSなど国際宅配業者に関税の支払立替を依頼することです。関税(および輸入にともなう付加価値税)は、誰が金銭的な負担をしようとも、その支払をするのは輸入者です。そして、国際宅配業者が、その輸入者に代わって支払うことができます。
ですので、国際宅配業者に代行を依頼すれば、日本企業が、関税・付加価値税を支払う目的に限っては、SIRET番号(後述のEORI番号・VAT番号)を取得する必要はありません。
ただし、EU内で広く流通している諸様式に取引相手(=日本企業)のEORI番号を記載する欄があったり、社内システム等にEORI番号を登録する仕組みになっていたりしていて、ヨーロッパの取引相手の担当者が、そのあたりの事情がよくわかってないまま、<EORI番号を教えて>と言ってくることは、ちょくちょくあります。
社会保険(厚生年金・健康保険)
フランス在住の人材を雇用する場合、日本でいう社会保険(厚生年金・健康保険)の会社負担分(いわゆる天引き)を、フランス当局に納付する必要があります。
フランスに拠点をもたない日本企業が、フルリモートでフランス在住人材を雇用する場合も同様です。
いずれの場合も、会社負担分について、支払給与から源泉徴収した額をフランス当局へ納付(日本で例えるなら、社会保険の会社負担分を社会保険事務所へ、個人所得税の会社負担分を税務署へ)が必要になります。
SIRET番号とは
上記の各種税等をフランス当局に納入する際に必要なのが、SIRET番号です。日本でいうところの法人番号です。日本の法人番号と違う点は下記です。
- フランスに拠点をもたない日本の事業者であっても、フランスに登記することなくSIRETだけを取得できます。
- SIRETは、フランスの各種納税に使う番号の共通部分です。日本ですと、法人番号の先頭にTをつけると適格事業者番号になります。フランスも同様です。SIRET番号がベースにあって、その先頭に各種記号をつけると消費税・関税・社会保険料・特許料の納付に使う番号になります。
- VAT番号:消費税(付加価値税)
- EORI番号:関税
- SIRET番号:社会保険料・特許料
- つまり日本に例えるなら、税務署・通関・社会保険事務所・特許庁が省庁を越えて、「SIRET番号+各種記号」を共有する仕組みが確立しています。合理的です。
- 日本の法人番号は、みなさまご存じのとおり、ひとつの事業主体(法人など)に対し1つ発番されます。フランスでこれにあたるのは、9桁のSIREN番号です。SIRET番号は、SIREN番号に各事業所ごとに付与された5桁の番号をプラスしたもので、計14桁で構成されます。
納税するのは代理人
SIRETは、上記のとおりフランス国外からも取得できます。ただし、フランス諸税の大半は、日本からフランス当局へオンラインで直接納付することはできません。フランスの法律上認められた代理人との契約が必要です。日本でいう納税管理人に近い制度です(以下:フランス納税代理人。日本の税理士のような存在です)。
なお、社会保険に限っては、日本企業がフランス本国人材をリモート雇用している場合、納付専用サイトが設けられており、理論上は、日本からのオンライン納付が可能です。
とはいえ、フランスの給与計算等は、残業代、有給休暇、源泉徴収(社会保険・個人所得税)など、複雑多岐にわたる税法知識と計算が必要です。現実的には、フランス納税代理人に依頼せざるを得ないでしょう。
実務上は、フランス納税代理人が、日本企業からの送金を受け取る銀行口座を用意します。あわせて、各フランス当局上に、日本の事業者のアカウントを代理で開設します。そして、各種税額を計算します。そして最後に、日本の事業者からの送金を受領し、そのなかから源泉徴収を含む各種納税、および社員への給与支払を代行します。あわせて、フランス納税代理人自らの報酬を受け取ります。
SIRET EORI VAT
・ 合同会社JEXPOは、フランスに拠点をもたないまま、フランスSIRET番号を取得しました。日本の法人番号に相当します。同様にして、日本の事業者さまも、自らSIRET番号を取得できます。 2023年11月22日 ・ |
・ 合同会社JEXPOは、SIRETに続きEORI番号を取得しました。 同様にして、日本の事業者さまも、自らEORI番号を取得できます。 2024年4月3日 ・ |
合同会社JEXPO
SIRET番号 98175683600012
EORI番号 FRJP981756836
VAT番号 FR59981756836(申請中)
SIRET EORI VAT 取得代行
日本の事業者さまは、日本から直接、SIRET、EORIを取得できます。
ただし、さらにVAT番号を取得したり(IOSS・OSS事業者など)、源泉徴収したりしたい場合は、フランス納税代理人が必須になります。
フランス納税代理人を見つけるのはひと苦労です。さらには、彼らに委託する業務については、ネゴシエーションする必要があります。実際には、SIRET取得のみが必要であって、納税が必要ないケースもありえます。フランス納税代理人が「この作業も必要では?」と提案してきたものを鵜呑みにして全て受け入れるようでは、発注額が著しく高額になってしまいます。
納税、SIRET・EORI・VAT番号、フランス納税代理人は必要なのか、まだ判然としない事業者さまには、Zoomアドバイスを無償で承ります。そしてその場で、あわせて、SIRET・EORI・VAT番号の取得代行、ならびに、フランス納税代理人のご紹介などの有償サービスを案内差し上げます。
お見積を提示することなく請求等差し上げることはございません。
SIRET等取得を円滑に進めたい事業者さま・個人さま、お気軽にお問合せくださいませ。事業者さまのお力になりたく存じます。